6.28.2014

天晴れ、二子山 -2014.6.1 二子山登山口~股峠~東岳~(上級者コース)~西岳~坂本降下点~ローソク岩~登山口




埼玉県と群馬県の境にある
超カッコいい二子山
これまで何度か計画がありましたが
同僚達とはスケジュールの関係でボツ
Hiさんとは雨でお流れに
やっとこさの訪問です。




⋅⋅⋅⋅⋅⋅余談⋅⋅⋅⋅⋅⋅
同僚達、と書きましたが
メンバーは上司とわたしとT君
T君はこの春に退職してしまった。
4月下旬頃から、上司が
「二子山いきたい。」
としつこいので
「なら責任もって、
T君と連絡とってください」
とわたし
てっきり、メールか電話をするのかと
「どうなりました?」と訊いたら
「お手紙書いたのに返事がない。」
て、手紙⋅⋅⋅⋅⋅⋅!!
改めて電話をかけてもらった結果
忙しくてNG、秋まで待って。
それにしても上司とT君のやりとり
埒が明かないので、
次回からは意地悪をせずに
自ら事を進めようと思います。笑




そんなこんなで
やってきました、小鹿野へ
朝から清々しい天気
晴れに後押しされたなら
俄然、気持ちは高まります





*******










股峠までの森
汗を優しく拭う風
でも気を抜いてはいけない
異音に気づき立ち止まると
登山道を突っ切って、
勢い良く石が転がってきた




股峠から、まずは東岳
引き続き気は抜けないが
これが楽しい
でも罠にはかからない
脆い足場は慎重に。
登り切れば、
堂々たる西岳の東峰








西岳は東峰・中央峰・西峰がある
稜線の全貌は
あそこへ行けばわかるだろう
上級ルートは東峰を乗り越え
一般ルートは右側から巻く
さらに高まる




はやる気持ちを抑え
股峠へ戻る
今度は西岳へ








しっかりとした岩と手がかり
核心部の背後に
さきほどの東岳




遮るものはない
暗いものや、汚いもの
何かを抱えたときは
こういうところで、
昇華させてしまうのがいい








ギザギザ両神山、よく見える
きっと向こうは賑わっているね




下降点までは申し分ない解放感 
見た目がカッコいい山は
たいがい、道もカッコいい
どこまでも進みたい
久しぶりにそんな稜線








かつては二子山と
同じほどの高さだったという、
削られた叶山が白く見える
叶山の麓から二子山への道は
鉱山開発のため
むかしむかし、廃道に




ローソク岩の前を通過し
元きた道と合流
これから登るハイカーが数名
ひとりの男性が話しかけてきた。
西岳が好きで、何度も訪れているそう
今日は歩荷トレーニングとのこと
この夏は穂高へ、
いつかは縦走の目標を掲げていると
重たいザックはしんどそうだったけど
辛さを弾き飛ばす笑顔




この人の心にはいつも
穂高があるんだな
どこを歩いても




晴れの二子山に、
気持ちも晴れ晴れ
今日も来て良かった
受け身な考えだけれど
山へ登ると、
必ず何かをもらえるよ








6.26.2014

湖畔さんぽ、御坂山地 -2014.5.25 毛無山~十二ヶ岳~節刀ヶ岳~鬼ヶ岳~王岳



「足和田土砂災害」
王岳から根場におりてくるとき、
普通ではない治山の印象を受け
帰りの車の中で調べて知りました。
普通ではないというのは、
うまく説明できないのですが
「なにがあったのか」と
容易に思わせる
歩くのが怖くなるような




昭和41年の台風26号
御前崎付近から上陸、
山梨県・関東東北を通過し三陸沖へ
9月25日
御坂山系を襲った集中豪雨
西湖北岸の村は
山腹崩壊、土石流の発生により
死者・行方不明者94名
養蚕や林業、酪農で生計を立て
日本一美しい茅葺の集落と言われた、
平和な根場地区は一瞬にして壊滅
当時の新聞に大きく書かれた
「山津波」の文字
日本で土石流災害が意識され、
防災対策が始まるきっかけに




恥ずかしながら
山行を終えてから判ったわけですが
ちょうどこの日
スタートとゴールになった辺りの、
二つの集落が西湖まで押し流された。
とてもショックでした。
次にここを訪れたら
当時の茅葺集落を再現した、
「西湖いやしの里 根場」にある
災害資料館にも
立ち寄ってみようと思っています。




*******




いつもと違う山域を歩きましょう
歩いたことのないところを
近場で眺めの良い山
ちょっとした鎖場でも遊べる










西湖のほとりに車を停め登山口へ
山の頂を踏みつつ湖の散歩
でっかい富士山を期待して
けれど今日はそばにいるのに儚い
靄の向こう、今にも消えそうな
弱々しい姿だったなあ










開けた登山道
本当なら、
南アルプスもよく見えたはず
お天気はイマイチだけれど、
小気味好いアップダウン
それからわたしは
山梨百名山に興味アリ
(日本のソレよりも、です笑)
十二ヶ岳、節刀ヶ岳、王岳
この日は一挙に三つ
先の三方分山まで行けば
もうひとつ稼げたのになあ
少し後悔
それは、またのお楽しみ










最後の山頂、王岳
単独男性がカメラを持っている。
標識の前で「撮りましょうか?」
声をかけると、嬉しそうに
「お願いします」
見るからに真面目そうな人
カメラを渡され
「撮りますよ〜笑って!」
恥ずかしげに写る人
「もう一枚。
今度は、もっともっと笑って!」
思わずわたしが高い声を出すと
男性のよそゆきの顔が
くしゃくしゃになった




王岳からの帰り道は
冒頭に書いたとおり、
いつ岩がゴロゴロ落ちてくるか
大きな堰が幾つも




あと少しで根場のバス停、
というところで⋅⋅⋅⋅⋅⋅
橋の下に見つけた!
「あっ!!」とわたしが声をあげ
指さす方を見遣ったHiさん
「うおーーーーー!!!」
背後の山々に響き渡るほどの声
Hiさんの予想外の反応に、
わたしが腰を抜かしそうに。
いるはずのないものが
そこにいたとか、
おじさんに見えたとか
何かいろいろ言ってましたが
そんなHiさんの反応にも動じず
わたし達のほうが、観察されている
じぃーっと





「なにか、御用?」









6.23.2014

ときめきの西上州 -2014.5.18 天狗岩~シラケ山~(岩稜ルート)~マル~烏帽子 岳 ~横道~おこもり岩



好きな山域、憧れの山域は
地図を眺めるだけで楽しい。
中でも西上州の高原地図は、
Hiさんもわたしも大好きです。
通い始めたばかりで殆どが未踏
気になるところを毎日歩きたい。
鹿岳〜四ツ又山、毛無岩、御荷鉾山
立岩、裏妙義など
昨年挑戦した表妙義縦走も、
一度きりでなく何度もやりたい。
西上州にはこの他
腕力やバランスだけでは
どうにもならない箇所が、
たくさんあります。
必要な技術をきちんと学び
きちんと経験を積んだら
ルートファインディングをしつつ
ロープを取り出しながら、
難コースを歩いてみたい
そんな夢もあります。
いつになるかなあ。




尊敬する登山家はたくさんいますが
今わたし達が一番お会いしてみたい方
西上州のカリスマ・打田鍈一さん。
山雑誌への寄稿や、
高原地図の監修をされている、
有名な方です。
この山行の帰り
「道の駅おあしす南牧」に立ち寄り
何気なく売店を覗くと、
打田さんの著書「藪岩魂」を発見!
しかもご本人のサイン入り!
ぼーっと歩いてくるHiさんに
はやくはやく!と手招き
「打田さんの本があるよ」
「⋅⋅⋅⋅⋅⋅買えば?
ていうか俺が買おうかな」
わたしが欲しいと思うものはいつも
「要らないだろ?」
と言われるのがオチなのですが。
それが、買えば?とは。
やり取りを聞いていた売店の女性も
「すっごく面白いわよ〜」
欲しい、でも一冊しかない。
(サイン入りが欲しかった)
仕方ないので
半分ずつお金を出しあい、
貸し借りすることにしました。
(半分でも所有権が欲しかった)




わたし達の山行の数日前
シラケ山で打田さんに会って、
サインを貰った登山者がいたそうで。
うらやましい限り。
「藪岩魂」とっても面白いです。
ただのガイド本では括れない。
西上州への愛が、
みっちり詰まっている。
エキスパートならではの警鐘も。
さっそくバイブルになりました。




藪岩魂の最初の見開きに
サインと一緒に書かれた、
打田さん直筆のことば




「手の届く冒険を
日帰りの低山で」




*******




読図を学んでから
地形図を見るのが楽しみで、
山行のルートが決まると
地形図をコピーし、磁北線を引く
自分たちが辿る箇所を、
頭の中でなぞらえるのだけど
破線の岩稜帯はわかりづらい。
この日も実際、現地で
こっちかな?と雰囲気で進むと
行き着く先が崖だったり、
巻き道に戻されそうになったり。
でもこういうところが楽しい。
登山道に歩かされるのではなく
地図とコンパスを取り出して、
自分たちで進むようにする。
短いコースで、
小さな冒険感覚を味わえます。
それが登山の基本と言われれば、
そうなのですよね。









緑の屋根は、どこまでも。
天狗岩から烏帽子岳までは、
コンパクトにアップダウンを繰り返す。
マル周辺だけは木々のなかだけど、
シラケ山からぐるっとまるっと
西上州の山々が圧巻






太陽を背に
岩の間を降りてくるHiさん
photo by Yumiko










行って、見て、触れたい
カッコいい山たちばかり
ただただうっとり




稜線に出るまでの樹林帯
それから帰りの巻き道も
静かで緑絶えず、癒される
足元には小さな白い花
あちらこちらに
ポッとあかりを灯すよう




そういえば
ヤマカガシに二度遭遇
きょとんとかわいいお顔なので、
しばらく見つめあっておりましたが
毒性はハブの10倍
マムシの3倍あるそうですね。
血清は、群馬県太田市にある
ジャパンスネークセンターにのみ、
保管されているのだとか。
おとなしい性格ゆえ
マムシなどに比べ、
人を噛むことは少ないようですが
まったく
かわいいやつほど、要注意ですよ







登山道脇の岩場から木が。
どうなっているのかな?
ちょっとだけ、お邪魔します





登山口の沢筋には
雪がたくさん残っていて、
山深さを実感しました。
西上州
これから足を運ぶたび
さらにその味わいの虜になる
間違いないでしょう








6.21.2014

みどり、沁みる、奥多摩 -2014.5.11 日原~稲村岩尾根~鷹ノ巣山~石尾根~七ツ石山~雲取山~鴨沢



*おしらせ*



HiさんがTwitterを再開しました。
主にブログの更新お知らせ用です。
良かったらフォローしてくださいね。

@ashioto2014

※たまに乗っ取るのもアリかな、
と思ったのですが
今のところなぜか、
わたしの出没率のほうが高いです。笑




*******




冬の話になりますが
2月⋅⋅⋅⋅⋅⋅ 関東甲信越地方は
記録的な大雪にみまわれ、
各地で被害が出ましたね。
奥多摩でも集落が孤立しました。
それからしばらく、
登山自粛の呼びかけがありました。
2月末、雪かきボランティアに参加し
大丹波地区へ行きました。
自衛隊や住民の方々によって
大まかな除雪が済んだ後でしたので
わたし達ボランティアは、
主に生活道路を受け持ちました。
わたしの班を担当してくださった、
30代と思しき地元の男性
「もう二週間休みがないんです」
と言いながら、
誰よりも力強く
誰よりも率先して、
ときに明るく会話を交わしながら
どんどん雪をかいていました。
奥多摩の男は強い!
わたしとHiさんも、
負けじと雪を掘りました。




いつのまにか冬が去ったころ
登山とは別の目的で、
大丹波地区を訪れました。
「釜めし なかい」にて
美味しいたけのこ釜飯をいただいて
自分たちが雪かきをしたあたりを
のんびり、ほんの少し散策。
「此処こんなだったっけ??」
ひたすら長く感じられた
雪の壁を縫う細道は、
こうして歩いてみると
なんてことない田舎道
周囲を見渡すと、
色とりどりの花が揺れ
ラジオを聴きながら
畑仕事をしている人がいる。
素晴らしいなあ。
やっぱり
やっぱり、春はやってくるんだね




それからしばらくして
ゴールデンウィークの翌週
新緑の奥多摩を歩きたくて
またまた稲村岩尾根から鷹ノ巣山
きっと石尾根もキモチいいから
久しぶりに雲取まで行こうか。




*******




始発のバスに揺られて
登山者は他に何組かいたけれど
予想に反し、
稲村岩尾根をふたりじめ
「きもちいい!」
「木が生き生きしてるね」
「あの葉っぱ甘そうだよ」
そんな言葉が代わるがわる
馬鹿みたいに
思ったことをそのまま、
何度も何度も。
青い、青い、緑が青い
枯れた心と身体が、
細胞レベルまで満たされる
圧倒的な瑞々しさで




あっという間に鷹ノ巣山頂
ハロー、富士山









後から知ったのですが
この数十分前に、
お友達がここを通過していたそう。
ああ、会いたかったな
かわいいさやちゃん




雲取山まで、日本一を従えて
わたし達の脚は止まらない











石尾根の木々はまださみしかった。
だけど、ふっくらした芽吹き
土から顔を覗かせたばかりの草
どれもこれもかわいらしく、
みんなに声をかけながら、
くるくる回って歩きたいくらい











幾つかのピークを丁寧に踏み
正午に雲取山到達
雑談しながらおひるをとって、
では戻りますか。
帰りはどうしようかな?
悩んだ末、おとなしく鴨沢へ向かう





15時台の鴨沢発奥多摩行
登山者でぎゅうぎゅうの車内
奥多摩駅で解放され
駐車場へ向かって歩いていると、
ある店の前に数匹の猫が座っている。
動物だいすき!
一目散に駆け寄り
お店の女性と猫談義。
話し始めて気づく、
この方、わたしと張るくらい話好き。
Hiさんは待ちぼうけ
いつものことだけど。




「あ、そうだ。
猫、抱っこしてもいいですか?」











もう、この顔、このしぐさ。
まるで我が子のように
優しく語りかけながら抱いたのに




よもぎまんじゅうを買い
商店をあとにした。
おまんじゅうの製造元を見ると
雪かきをした大丹波にある会社
奥多摩や青梅の名産品を作っている、
獅子口屋さんだった。




わたしの脚は、
奥多摩に鍛えてもらっている。
だから、なんでも良いから
奥多摩のことをもっと知りたいし
理解を深めたいと思う。
そのためには、
もっともっと歩かないといけないな




今度は奥多摩の秋を満喫しながら
ロングコースに挑戦したい
計画、練ってますよ


6.14.2014

奥多摩 鷹ノ巣山のお兄さん -2014.1.19 東日原~稲村岩尾根~石尾根~奥多摩駅



前記事の美ヶ原の翌週は
日原から鷹ノ巣山、
そこから石尾根を歩いて雲取山まで
新緑の奥多摩ハイキングでしたが、
実は今年二度目の鷹ノ巣
せっかくなので先に一度目の様子を



余談ですが
初めて「登山」を意識して歩いた道
それが稲村岩尾根です。
わたしは相模原育ち
遠足といえば近くの陣馬山、石老山
でも学校や子供会の山登りなんて、
友達と一緒にいることのほうが大事。
山道の記憶などほとんどなく
手元に残るそのときの写真は、
いかに自分が大きく写るか
友達と、カメラに向かって
押し合いへし合いしているスナップ。
それと陣馬山頂にある馬の像の前で
なぜか不機嫌そうに、
直立不動しているもの。
なにがあったのでしょうね。笑



大人になり
思いつきで富士山に登ってみようと
でもいきなりはなあ、って
まずは山を歩いてみるか。
自宅から青梅線一本で行ける奥多摩
本をペラペラ捲っていたら、
鷹ノ巣山が紹介されていた訳です。



登山歴のある同僚T君に話したら
「こまめに地図を確認するんだよ。
水は多めに持って行くように。
登りはゆっくりね」
とかなんとか色々心配されました。
彼とは近所の丘陵を
一緒に散策したことがあり
夢中になると、
どこでも駆け上がってしまう
普段のわたしの性格を含め、
その無謀ぶりを解っていたのですね。
それは今でも直らないのだけど⋅⋅⋅⋅⋅⋅



梅雨明け後の暑い日
汗をダラダラかきながら登頂
初めての急登はキツかったけど、
嬉しくて仕方なかった。
ここで懲りていれば
「山なんて行かない」ってなったかも
下りは峰谷橋まで歩いて、
途中でお天気雨。
狐の嫁入りとも言われる、
なんとも美しい光景に
わたしは迎え入れられているのだと



⋅⋅⋅⋅⋅⋅そんな勝手な思い込みを経て
今に至ります。
登山初級は相変わらずです。
奥多摩はまだまだ他にたくさん、
歩きたい山や尾根があるのだけど
奥多摩へ行くとなると
つい「稲村岩から鷹ノ巣」に。



1月、奥多摩にも雪が積もり
「じゃ、鷹ノ巣行こうよ」
Hiさんの低山歩きは、
彼の自宅からアクセス容易な
丹沢がメイン。



ようこそ、わたしのルーツへ



*******



この日は寒かった。
1600mくらいからだろうか、
北斜面を容赦無く走り抜ける風
病み上がりだったわたしは
滝のように流れる鼻水に悪戦苦闘
呼吸が整わない。
寒くて寒くて
ペットボトルの水はシャーベット状
それを口にするのを躊躇っていると
今度は脚がつる。
たまにHiさんと
「今までで一番キツかった山行は?」
と話すけれど
わたしは断然、このときの鷹ノ巣山。
当たり前ですが
体調が万全でないときは
山は我慢しましょう⋅⋅⋅⋅⋅⋅笑



稲村岩尾根が良いのは
無駄なく頂上まで、
ほぼ真っ直ぐに目指せるところ。
そして晴れた日などは
そろそろだなと上がっていくと
木々に囲まれた、
眩い光が次第に大きく近づいてきて
登り切って一気に飛び出せば、
そこが開けた鷹ノ巣山の山頂。
なにかをくぐり抜けて
別世界へやってきたような
この瞬間がとってもすき




青空
ふかふかの白い雪
登りの尾根で吹き荒れていた風は、
ここには来られないみたい
嘘のように穏やか
正面に富士山
右手に南アルプス
南部がよく見えるね、ご褒美だ
楽しい!
猫みたいに寝転がって、
背中でコロコロしたい




























しんどいんじゃなかったの?
そんなの、どっかいっちゃったし。




山頂にて
抜きつ抜かれつで上がってきた、
単独の男性と会話が弾みます。
登山者同士、山のなかでのお話は
本当に楽しいし有意義です。
この方のことは登っているときから
「強いなあ」と感じていました。
ブレない身体と、足の速さ
そしてお話をしてみると、
「山が好きなんだな」
後日ヤマレコで鷹ノ巣山を調べたら
男性の記録を見つけました。
山頂でわたし達と会話したこと
チラッと書いてあって、
なんだか嬉しかった。
さらに他の記事を覗いてみると、
どれも実直。
毎回驚くほどの
長距離を歩かれているけれど、
よく考えられたルートで
いいなあ、わたしも行きたい。
そう思うのは、
他人に公開するすごい記録と言うより
ご本人が楽しんでいるのが、
読み手にとっても伝わるから。
山行はそれぞれ。
「自分の山」を追求する方々を
わたしは心から尊敬しています。




「鷹ノ巣のお兄さん、
今日はどこを歩いているのかなあ」
1月以降わたしの口癖。
いつか山で再会したいな
またいろんなこと教えてもらおう
その日を楽しみにしつつ




今度の休みはどこ行こう








6.10.2014

空を見た⋅⋅⋅美ヶ原、霧ヶ峰 -2014.5.4



おばさんハイカーの悩み。
シミとかシワとか、なんか色々。
一緒にしないでよ!って、
同年代の女性のみなさんから
お叱りをうけそうですが。笑
わたしは仕事でも年中、外
これまで紫外線対策を怠ってきて
もう、ボロボロなんです⋅⋅⋅⋅⋅⋅



⋅⋅⋅⋅⋅⋅ということで、
今さらあがいてます。
山で稜線に出たとき
強い日差しから逃れたい。
でも帽子、あんまり好きじゃない。
夏はだいたい、
手ぬぐいを頭に巻いている。
汗をよく吸い取って速乾性もあり
手ぬぐい万歳派なのだけれど
日差しだけは、ねえ




そこで手に入れたのがこちら




きれいでしょう。
このテの笠、
山中でたまに見かけますが
おそらく殆どが巡礼用のトンガリ笠。
同じようでこれはちょっと違う
沖縄の民具、クバ笠です。
クバはヤシ科の木だそうです。
実際に見たことはありません。
何せ沖縄へ行ったことがない。
以前、同僚のT君宅を訪問したとき
居間にさりげなく置かれた、
なんとも美しい笠を
「すてき」と手に取ったら、
「沖縄のウミンチュの笠だよ」
って教えてくれました。
それからずっと、欲しいなあって
まさか海人の道具を山用に買うとは
思ってもみなかったけれど。



クバ笠にも種類があります。
農作業用は頭が尖ってる。
海人のは平です。
これは、海からの強風に煽られぬよう
考えられたカタチとのこと。
それから舟に水が浸入してきたとき
笠を桶がわりにして、
水を掻き出すのだそうです。
南国の強い日差しを防ぎ
風通しが良く、雨に負けない。
被っているのを忘れるほど軽い。
手作りのあたたかみ。
なんといっても美的。
もう最強の帽子なわけです。
が、最大の難点は
小さくならないこと。笑
山行によって、
連れていけない場合もあるでしょう。
しかし今回の日帰り高原ハイクには、
もってこいじゃないかな?
という訳で、
増税前に取り寄せたクバ笠
ようやく一緒に旅する日が来ました。




*******




先週テン泊した甲斐駒ケ岳
今週は違うところから眺めたい
いろいろ候補はあったけど、
のんびりしようよ、と出かけた
まずは美ヶ原



車を停めた山本小屋から
ものの5分で辿り着く牛伏山の山頂
真正面に北アルプスのやまなみ



「すごいねえ、来て良かった」
指差しながら順に山の名前を
教えてくれるHiさん、しかし
目も心も、南アルプスへ向けて
熱視線を送ってしまうわたし



美しの塔から、茶臼山へ歩く
まだ一面枯れ草だけど、
広々とした地をゆくのは気持ちがいい








向こうに見えるは八ヶ岳と
だいすき南アルプス
右手前の黒いところが茶臼山
朝は氷が張るほど寒く、
この時はまだ毛糸の帽子です。
うん、空気がおいしい。



茶臼山で折り返し、
次は王ヶ頭を目指す。
無機質な電波塔を遠くから眺めると
城のような要塞のような
ふしぎ、
嫌いじゃないよ








左端に見えてますね、北アルプス
終始ナイスビュー
立派な連なりを楽しめました。
荷物がやたらと多いのは、
カレーの材料を背負っていたから。
このあと霧ヶ峰の車山山頂で
作って食べました。
すーっごく、美味しかった



ナーバスなものは一切なかった
ここは自由に空を抱ける。
大きな場所って、
ヒトの何かを
呼び覚ますんじゃないかって
だけど、こんなに広い空でも
まだまだ続きがあって

それにずーっと上の⋅⋅⋅⋅⋅⋅
わたしが今いる、
ずっとずっと上のほう
想像したらクラクラ、取り残される
まだそこへ行くことは出来ないな




せっかくだからと、
近くの霧ヶ峰にも
立ち寄ったのは良いけれど⋅⋅⋅⋅⋅⋅
何せゴールデンウィーク中でして。
中央道の混雑を懸念し、
車山しか行けなかった。
日帰りが多いわたし達は、
帰りの高速渋滞までがCT
次は時間を気にせず歩きたいなあ
(そんなこと言って結局、
恐ろしい渋滞に突入する
羽目になったのですけどね。笑)



霧ヶ峰へ移動しようと
山本小屋に戻る途中
この日のお昼ごろ、
全国的に観測された
日暈、そして環水平アーク








日暈は太陽の周りのリング
環水平アークは
光が屈折して作られる水平の虹
人々を夢中にさせる
大きな光の輪と、七つのいろどり
忘れられない空に出会えました。



空を嫌いな人って、いるのかな?



そうだ、今度はここで
星集めもいいよね




6.07.2014

あゝ甲斐駒ケ岳、黒戸尾根3 -2014.4.27~4.28




テン場からわずかに高度を上げれば
遮る木々がなくなります。
朝は良い、すべてが漲っている








あいにく雲が多いけど、
八ヶ岳はごきげん



しかしながら
歩き出すと、
昨日のモヤモヤが蘇ってきました。
真剣なつもりでも
集中力に欠けていたのです。



男性がひとりで下りてきました。
目覚ましになってくれた足音の人だ。
本日初の登頂者
わたし達も続く








言葉にするのはもどかしい
文章などでは表現できない
好きな山の頂を、
目の前にしたときの気持ち。
その上、今日はすこし戸惑っている



撮影をするHiさんより先に登頂
山頂の祠で手を合わせたら、
自分でも驚いたのだけど
声をあげて泣いてしまった。
感激だけの涙ではない、
あれは何だったのか
今でもよくわかりません。
強いて言うなら
さみしさをぶちまけた時に似てる








おおらかに走る山脈、素晴らしい。
それなのに
山頂で撮った記念写真を見返すと
このときの気持ちが、
しっかり顔に現れています。
見たことのない複雑な表情








来た道を帰る。
そして鬱屈としていたものが、
表面化する事件が起こります。


「あ⋅⋅⋅⋅⋅⋅!」


背中を打って、
起き上がろうとして体勢を変え
斜面で顔面を擦りました。
凍った岩を乗り越えようとして、
バランスを崩したのです。
一瞬の気の緩み
顔がヒリヒリする、
こすると血が出ている。
幸い身体はなんともなかった
八合目まで下って休む。


「傷がついた!
もうお嫁にいけないよ」
そう言うわたしに
Hiさんは心底呆れたようでした。
何より心配をかけてしまいました。
冗談ではなく、
自分の脚で帰れないようなことになっていたら⋅⋅⋅⋅⋅⋅
本当に、ごめんなさい
(顔の傷は二日で消えました)



テン場に戻り撤収作業
荷物を背負いこんで、
そこから先が大変でした。
わたしは浅い経験の中で、
危ないから気をつけようと思っても
怖いと思ったことは、
あまりありませんでした。
それが一変
谷ばかり目に入る。
「落ちたら死ぬ、怖い」
でも恐怖心を抱きすぎても
余計に危険を招きます。
よくわかりました。



このときのことを友達に話すと
「ケガして良かったね」
と、言われます。
上司には「おめでとう」とも。
素のわたしをよく知る人たち。
自分の甘さ
改めて向き合いました。
それから
誰と一緒にいても、山は自力で。



*******



尾白川渓谷に着いた。
猿の群れに遭遇して、
子猿のいじらしさにホッとする。
ああ、帰ってきちゃったんだな⋅⋅⋅⋅⋅⋅
痛い目にあったのに、
今すぐ引き返したくなる



駐車場にて
Hiさんとわたしに
タバコを一本ずつ恵んでくれた、
売店のおばちゃんと立ち話。


「ここに来るのはね、
山が好きな人達ばかりだよ」


そうだな⋅⋅⋅⋅⋅⋅


わたしは
本当に山が好きと言えるのかな
なんのために山を登るの?
登りたいから登るんだけれど
その「登りたい」は、
どこから来るの
⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅
⋅⋅⋅⋅⋅⋅
⋅⋅⋅

白黒を決めたがるの、よそう
好きだと思うなら
好きで良いんじゃないか
他になにがあるの
どんなカタチでもいい
好きに理由などないって、
なんだか初めてわかった



「またおいでね」
おばちゃんに言われて
「また来ます!」 
いつもの元気が出ました。



また行く、迷っても
何度でも
そのたびに強くなる



甲斐駒ケ岳、愛する山
好きとか愛してるとか、
言うのは簡単だけれど
理由はわからなくたって
求めるものが
そこにあること
わたしが一番、知っている






6.05.2014

あゝ甲斐駒ケ岳、黒戸尾根2 -2014.4.27~4.28



雪の上に、お家ができた。




暗くなるまで時間はたっぷり。
テン場から少し下った七丈小屋へ。
受付のとき小屋番さんが
「使ってください」と、
軒先に置いてくれたやかん
ちょっと遠慮がちにお水を頂き
また雪道を戻ります。
「今は良いけど、
明日の朝はトイレ行くにも
アイゼン要るよね」
小屋周辺、まだまだ雪がある
凍ったら往来は厄介だなあ⋅⋅⋅⋅⋅⋅



遠くの街を見下ろす
ここは貸切の庭、とても贅沢
つまみを広げて乾杯。
どこからか浮かんで
どこかへと流れていく
とりとめのない会話



お待ちかねの晩ごはんは
某サイトからレシピを拝借した、
トマト味のミートボール鍋です。
これが美味しくって⋅⋅⋅⋅⋅⋅
たくさん食べたいけれど、
山行前から面倒をかけている
Hiさん、その苦労の分、
おかわりしてもらいましょう。
(足りなかったかな?)
チーズのパンとくるみパンは、
まわりを軽く焼いて香ばしく
これもまた、美味しかったな。




ちらちらと瞬きはじめた街
「あの小さな光の下で
みんな、今なにをしてるんだろ」
「ただいま!って、
子どもが帰ってきて
おかえりなさい!って、
お母さんは夕飯の支度を
してるのかな?」
暮れる眺めに
わたしはいつも同じことを言う。
「そうだな」
返ってくる言葉も、いつも同じ。
こういうとき、
常にわたしを脅かすもの
(自身の小さな迷いや
つまらない不安だったり)は
どこかへ消え去っているのだと思う。
いま触れているリアルさえも




「明日は山頂に立てるのかなあ」
寝袋に潜り込み
自分が横たわっているところから
さらに上を想像しながら
目を閉じて
いつのまにかわたしも闇のなか。
風はほとんどなく、
寒さで目を覚ますこともなかった。
誰かがザクザクと雪を踏む音で
ハッとしたのは、明け方でした。




*******








軽食を済ませ身支度。
優しく染まる空と、
顔をのぞかせた太陽が
ぐんと輝く瞬間を見届けて



さあ、いよいよ







(続く)

6.03.2014

あゝ甲斐駒ケ岳、黒戸尾根1 -2014.4.27~4.28

梅雨入り前に暑くなりました。
5月末、最後の金曜日に
靴慣らしを兼ねてひとり奥多摩へ。
日中は夏の陽気でした。
鋸尾根から大岳山、
馬頭刈尾根を縦走し
軍道の集落まで。
山道にこもる熱気にむせながら
負けじと、熊鈴高らかに。
登山者は殆どいなかったけど
何たって、この時期の低山
虫や草がかなりうるさい。
大岳山頂ですら珍しく人がおらず、
自分にたかるハエに話しかける始末。
でも、久しぶりの単独行だったから、
森に響き渡るツツドリの声や
盛りはじめた自然と共に歩けて、
とても心強かったです。

帰宅後⋅⋅⋅⋅⋅⋅
冷えたビールのうまさと言ったら!
汗をかけばかくほど、
お酒の旨味は増しますね。



そして今日も
暑いな〜なんて思いながら、
このブログを書いています。
最後の雪山記事に、
ようやく辿り着きました。




わたしが山を歩くとき、
どこにいても、何をしていても
必ずそこに導かれると信じている。
山を歩くことが生き甲斐なら
わたしのすべてが
ここにあると言っていい








愛する山、そして愛する道
「甲斐駒ケ岳  黒戸尾根」




*******




⋅⋅⋅⋅⋅⋅好きとか愛しているとか、
言うのは簡単だけれど⋅⋅⋅⋅⋅⋅

わたしの甲斐駒ケ岳登頂は、
まだたったの三度(全て夏)。
うち黒戸尾根は二度。
四度目の甲斐駒ケ岳、
三回目の黒戸尾根は
夢にまで見たお泊りです。
残雪期、七丈小屋でのテント泊
今のわたしには精一杯の山行でした。
無事?に登頂して帰ってこられたのは
Hiさんの支えがあったからこそ。
初めて黒戸尾根を歩いたときも、
一緒にいたのはHiさんでした。
彼には借りがどんどん増えています。
返せる日が来るとは思っていません。笑
それはHiさんもよくわかっていて、
とっくに諦めているはず。
うーん、たぶん。おそらく⋅⋅⋅⋅⋅⋅




早朝の尾白川渓谷駐車場。
支度をしているとパトカーが。
警察官が二人近づいて来ました。
ゴールデンウイークに差し掛かり
山の事故が増えるからと、
同じ北杜市内にある瑞牆の駐車場へも
別の警官が赴いているそうで。
その場で登山届を渡しました。
「とにかく下山に気をつけて欲しい」
何度も念を押されました。



「では、いってきます」
おまわりさんに声をかけて出発。
今回はテン泊装備。
慌てずゆっくりやろう、
そう約束していました。
樹林帯から我慢、一歩ずつ確実に。
思えば会話は殆ど無かった。
鎖や梯子が出てくると
手足をかけながら、
下る時のことを考える。
登れても降りてこられないようなら、
諦めるしかない。
昨年、嬉しくて嬉しくて
跳ぶように駆け抜けた道は
今日は全く違う修験道。
そして明日は
どんな思いで、ここを歩くのだろうか
⋅⋅⋅⋅⋅⋅
未熟なわたしに確かなものはなく、
なにかモヤモヤした気持ちでした。




(続く)