この日の前夜
山梨の山間部は雪でした。
中央道、しらみ始めた空に
徐々に浮かぶ周囲のやまなみは
上のほうだけ、
繊細な雪をかぶって
そこにある木々は枝の先まで
白くかたどられているのがわかる
谷筋を走る雲、幾重にも
なんともドラマチックな
夜明けでした。
思わず「絵にしたい」と言うと
「そう思うなら描いてみたら」
と、Hiさん。
でも、言ってみたものの
わたしに絵心なんてない。
うまく表現できないから
ガッカリするのはわかってる。
それは誰かに見せたいとか
見せて理解されたいとかではなく
自分の心を通して見たものを
自分が納得するカタチで、
とどめておけたら良いのにな
って、いつも思うので⋅⋅⋅⋅⋅⋅
写真でも良いのかもしれませんが
感激したときは不思議と、
絵画で表してみたくなるのです。
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高速をおりて登山口へ向かう
次第に周りも雪景色になります。
車を停めて静かな集落に身を置く
我々のほかに誰もいない。
枝垂れた梅に、
控えめにのった雪が
紅い花の色をいっそう際立たせて
綺麗だなあ、と見つめていたら
近くの寺の鐘が、
ボーンと鳴り響いた。
山の中は霧です。
前夜に降った雪の上には
ヒトの足跡はありません。
時折シカが現れては
瞬く間に傾斜地を駆け下りていく。
バサバサ!と大きな音がしたので
注意深く観察すると雄のキジ。
突然の訪問者に
動物たちは慌てているようでした。
扇平でひとやすみ。
山頂まで、あとひと粘り。
ここからは別ルートからの
先行者の足跡がありました。
さらに進むと
冬の残雪も増えてきた。
山頂ではやはり雲が多かったけれど
たまにはこんな眺めもオツなもの。
それでも奥秩父の山々は見渡せて
眺めながら、エア縦走
下山道を使って戻りましたが、
残雪多し
ところどころ踏み跡消える。
こういう道は勉強になります。
廃れた高原ヒュッテへ辿り着き
コーヒーであたたまりました。
山からおりてくると
村を染めていた雪は
嘘のように消えていました。
夢から醒めたような
少しさみしい気持ちになったけど
またいつか、同じ場所へ