5.31.2014

乾徳山、霧の道 -2014.4.6 道満尾根〜扇平、下山道

この日の前夜
山梨の山間部は雪でした。


中央道、しらみ始めた空に
徐々に浮かぶ周囲のやまなみは
上のほうだけ、
繊細な雪をかぶって
そこにある木々は枝の先まで
白くかたどられているのがわかる
谷筋を走る雲、幾重にも
なんともドラマチックな
夜明けでした。


思わず「絵にしたい」と言うと
「そう思うなら描いてみたら」
と、Hiさん。
でも、言ってみたものの
わたしに絵心なんてない。
うまく表現できないから
ガッカリするのはわかってる。
それは誰かに見せたいとか
見せて理解されたいとかではなく
自分の心を通して見たものを
自分が納得するカタチで、
とどめておけたら良いのにな
って、いつも思うので⋅⋅⋅⋅⋅⋅
写真でも良いのかもしれませんが
感激したときは不思議と、
絵画で表してみたくなるのです。



*******



高速をおりて登山口へ向かう
次第に周りも雪景色になります。
車を停めて静かな集落に身を置く
我々のほかに誰もいない。
枝垂れた梅に、
控えめにのった雪が
紅い花の色をいっそう際立たせて
綺麗だなあ、と見つめていたら
近くの寺の鐘が、
ボーンと鳴り響いた。








山の中は霧です。
前夜に降った雪の上には
ヒトの足跡はありません。
時折シカが現れては
瞬く間に傾斜地を駆け下りていく。
バサバサ!と大きな音がしたので
注意深く観察すると雄のキジ。
突然の訪問者に
動物たちは慌てているようでした。








扇平でひとやすみ。
山頂まで、あとひと粘り。
ここからは別ルートからの
先行者の足跡がありました。
さらに進むと
冬の残雪も増えてきた。



山頂ではやはり雲が多かったけれど
たまにはこんな眺めもオツなもの。
それでも奥秩父の山々は見渡せて
眺めながら、エア縦走



下山道を使って戻りましたが、
残雪多し
ところどころ踏み跡消える。
こういう道は勉強になります。
廃れた高原ヒュッテへ辿り着き
コーヒーであたたまりました。



山からおりてくると
村を染めていた雪は
嘘のように消えていました。
夢から醒めたような
少しさみしい気持ちになったけど
またいつか、同じ場所へ






赤岳から愛 -2014.3.23 美濃戸口〜文三郎尾根、地蔵尾根

大好きな中央道
南アルプスがチラと現れた途端
絶叫して両手を振ってしまう。
そして甲斐駒ケ岳が近づいてくると
更にボルテージ上昇!
この日の朝も。
「登るのは八ヶ岳なのに...」
呆れられるまでがデフォルト。
中央フリーウェイ
わたしだったら
「右に〜見える八ヶ岳〜
 左〜は甲斐駒ケ岳〜♪♪♪」
って歌うのに、なぁ


*******


本日も好天。
行者小屋まで黙々と進みます。
視界が開けてくると
そびえる白い岩の峰々
呼吸を整えつつ暫し眺める。
なんて眩い、頂たち






小屋前で装備を変え
気持ちも締め直します。
それにしても暖かい、
素手で支度出来てしまう。







阿弥陀岳迄の分岐点ですでに
甲斐駒への愛が抑えきれない。
自分の脚で歩いて登って
久しぶりに、こうして見てる


最後のひと登りも辛くない。
赤岳のてっぺんからは
もちろん南アだけではなく
ぐるっとお見通しです。
そして自分の足元から、
北へ伸びる数々のピークに
順に視線を沿わせていくと
奥の蓼科山
ぽっこりかわいい。
神話では、蓼科山は
八ヶ岳の妹らしいですが
このときは、丸い帽子を
得意げに被った
やんちゃな弟に見えました。


素晴らしい眺めを頂きながら
地蔵尾根で戻りました。
下山後、わざわざ
尾白の湯に立ち寄ったのは
言うまでもありません......



ありがとう、赤岳






5.26.2014

谷川岳、白い耳 -2014.3.16 天神尾根

先日、元同僚から
「友達が上京して熊鍋やるからどう?」
との誘いがありまして。
即答で「いくッ!」
大切な内輪の集いだったようですが
よそ者がノコノコと
お邪魔してきました。
鍋を振舞ってくれた方は、
マタギの方達と山に入り
山中や生息する生物の
放射線量を測っているそうです。
(山形の小国町です)


興味深いお話を
たくさん伺いましたが、
「マタギは空を飛べる!」
と仰ってました。笑
気配もなく雪庇の向こう側に
いたりするそうですよ。すごい。
で、頂いたのはふたつの鍋、
ツキノワグマ(手の部分)と
アナグマ(クマと言いつつクマではないのですが)。
それぞれをコシアブラや大根と
味噌で煮込んだもの。
ツキノワグマのほうは、
何かジャリジャリあたるものが。
それが何だったのかはわかりません。
アナグマはとても柔らかく、
こちらが好みでした。かなり濃厚。
隣に座っていた方のお椀には
アナグマの鼻が、
丸ごと入っていました。
密集する、短いけれど硬そうな毛や
細かい歯まで連なって。
そのままかぶりついて
「あんまり味がしないなあ」
と、感想を漏らしていました。
さすがにびっしり並んだ歯は残していたようですが
わたしが口にするには
相当の勇気が必要です。
まだまだですね。


さて、余談が長くなりましたが
記事はしばらく雪山が続きます。


*******


昨年9月、谷川岳を訪れたとき
まるでいきもののような雲の流れに
目を見張り心打たれて、
それは立ちすくむほどの
光景、というより「世界」でした。



「次は雪の谷川へ」



朝一番の天神平駅
お天気も気分も上々
一歩ずつ進むのがこんなにも楽しい。
登るにつれ、澄んだ空と
どこまでも白い山々に魅せられ
また一歩、さらに一歩





夢中になりすぎて、
Hiさんを置いていくところでした。
いけないいけない。


トマの耳に着いて、
一回目のハイタッチ。
すぐにオキの耳へ。



耳と耳のあいだ

雪庇のうえを軽やかなあしあと
四本足の誰かが、
とてもうらやましい。



オキの耳は風が強かった。
立ち止まっては振り返り、
立ち止まっては振り返り。
「もう見えなくなってしまうよ」
つぶやきながら、来た道を戻る。
何度も振り返るほど
別れを惜しむのは、
目に焼き付け足らないからです。
忘れていく一方の記憶を、
少しでも残しておきたいからです。



天神平駅まで戻り
ピッケルとアイゼンをしまっていると
人懐こい犬が近づいてきました。
リードを持つお母さん、
お父さんと
小学校低学年くらいの男の子
観光でやってきたようです。
「この先はどうでしたか?」と訊かれ
「素晴らしかったです」
としか答えられなかった。
愛嬌たっぷりのわんこの名は
モモタロウ。
ひとしきりモモちゃんと
遊ばせてもらったあと、
自分ちのモモちゃんに
イタズラばかりしている、
元気有り余る男の子に
「大きくなったらね、
(山の)向こうへ
行ってみるといいよ」
と言うと
小さく「うん」と頷きました。








5.23.2014

向こうの浅間山 -2014.3.9 車坂峠〜黒斑山〜鋸岳

山のおはなし
はじまりはじまり。


どこから書こうか迷ったけれど、
大雪後の3月から始めることにします。
追っかけ再生状態から抜け出せたら、
それ以前の山あるきも載せられたらな
と、思っています。


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晴れて穏やかな一日でした。
うっすら滲む汗を拭うため
立ち止まると
それまで自分についてきた、
雪をかむアイゼンの音も止んで
わずかな風音すら感じない静かな道。
時折誰かに出会って、
ハッとしてどこからか引き戻され
挨拶を交わす。



稜線に出ると眼下に美しい庭。




黒斑山から先は
急に人が少なくなります。
蛇骨岳、仙人岳、鋸岳まで。



浅間山、大きい





雪のついたこの山を、
Hiさんが初めて間近で見たとき
「その生きた山の迫力に思わず膝まづいた」
という話を聞いていたのだけど、
わたしは畏怖の念を抱きつつも
なんだかとても楽しい気分になりました。
よく見ると、
向こうの浅間の山肌を進む
ちっこい人々が
(真剣に登っている登山者のみなさんです)
まるでありんこのよう。

それに浅間山は⋅⋅⋅⋅⋅⋅
チョコシフォンに粉砂糖をふったみたいだった。
真っ先に「おいしそう」などと口走ってしまって
バチが当たりそうですね。
(大噴火しませんように)
でも同じ感想を持つ方も多いみたい。
それに、美しいものは
何でもだいたいおいしそうです。



夢中になって登り
笑顔が出たときは、
「またくるね」と言ってさようなら。
次はどんな表情を
見せてくれるのかな。








5.22.2014

はじめまして。

初めてのかたも、そうでないかたも
こんにちは。



山歩きをする同士で
ブログを始めることにしました。
常にカメラを携えるHiさんの、
写真を公開する場所が欲しかったのと
自分たちの記録帳のつもりで。
本当はサイトを立ち上げて、
コレはソコにハメる予定なのですが。
ヤろうヤろうと言いながら
すでに半年近く経ってしまい
写真が溜まる一方で⋅⋅⋅⋅⋅⋅ 
サイトが出来上がったら、
Hiさんのギャラリーも
ご覧頂ければと思います
(いつになることやら)。



皆さまの山行にあたって、
記事は参考にならないかと思います。
登山道そのものや
道標の写真は殆どなく
CTもめちゃくちゃです
(急いだりのんびりだったり)。
何より、山から帰ってきて
すぐに更新できるとは思えません
(超不精)。
なるべく、旬な内容をお届けしたいのですが⋅⋅⋅⋅⋅⋅

コースについての詳細は
ガイド本や諸先輩方のブログ
ヤマレコさんにお任せして、
自分たちなりに楽しみながら
記事作りをしていきたいなあ
と、考えています。
わたし達の山行に関するご質問は、
遠慮なくコメントしてくださいね。


簡単に自己紹介を


*Hiさん*
写真担当
山を歩く音。『足音』
いろんな山を踏みしめた音の記録です。
山も写真もまだまだ未熟ですがどうぞよろしく。
カメラはnex-7
人と山を写真に


*Yumiko*
雑記係
甲斐駒ケ岳がだいすき
憧れは南アルプス深南部
ザックの中にはお菓子がいっぱい。
山頂や登山道で出会った方々と、
お話をするのが楽しみのひとつです。



同い年で兄弟のようななかまです。
取っ組み合いの喧嘩をしながらも
時に助け合い山を楽しんでいます。
さあ、どこまで成長できるかな?
よろしくお願いします。