1.24.2015

奥多摩の美尾根 -2014.12.21 東日原~八丁山~(巳ノ木戸尾根)~お伊勢山~(鷹 ノ巣尾根)~ヒルメシクイノタワ~鷹ノ巣山~稲村岩尾根~東日原





過去にも書きましたが、
初めて一人で登った山は
奥多摩の鷹ノ巣山です。
なにかの雑誌で、
稲村岩尾根が紹介されていて
「急登かあ、面白そうだな」って
山の名前もなんだかカッコいいし。
「決〜めた、ここ登ってみよ」
なんともナメた初心者です。
そこで痛い目に遭っていれば、
「二度と山なんか行かない!」
と思ったでしょうが、残念ながら
楽しくて仕方なかった。
おかげで
山を大好きになってしまいました。



さらに
甲斐駒ケ岳に執着するきっかけも
鷹ノ巣山なのですが、長くなるので
それはいずれまた。



秋に奥多摩を歩くつもりが、
別の山域へ通いつめてしまい
気付けば雪が舞う時季に。
手に入れた奥多摩の登山詳細図は
どうしてもお気に入りの山、
鷹ノ巣周辺ばかり見てしまいます。
気になるルートはいくつかあるけど
八丁山とお伊勢山を経由して
ヒルメシクイノタワへ至り、
稲村岩尾根と合わさる鷹ノ巣尾根
取り付きがわかりやすく
尾根に上がったら外さず進めば良い。
易しいバリエーションルートで、
静かな山歩きを楽しむことに。




*******




まずは巳ノ戸尾根を目指そう
作業道が縦横に走っている
紛らわしいが、
方角を確認しながら登りつめる
鹿よけの柵が見えてきたら安心



静かだった
針葉樹の森を抜けるときは
厚いカーテンを引いて
窓を開け放つ気分
パッと日差しが飛び込んで



八丁山の前に小さな岩場がある
ルート上のわくわくスポット
難しさはないから、楽しんで登ろう
止まってはキョロキョロ
なんたって眺めが良い
長沢背稜や石尾根
奥多摩を代表する縦走路を
ぐるりと見渡せる








八丁山でチェーンスパイクを着けた
鷹ノ巣尾根で南へ進む
登山詳細図では
「山水画の中を歩いているよう」
と、その美しさが讃えられている箇所
歩いてみて納得
奥多摩の秘めたる資質ここにアリ
みんなに味わって欲しいけど、
あんまり歩いて欲しくないような
少し意地悪な気持ちにもなったりして
奥多摩大好きな方
また「鬱蒼として苦手」と奥多摩を敬遠されている方
オススメします



お伊勢山から下りて
廃道の分岐に遭難碑がある
そこに彫られている一文


『⋅⋅⋅自分もまた、
一個の生命であることに気づいた時、
「生きてて良かった」
と思えるのです。』


30年前の3月に
巳ノ戸谷で命を落とした方の碑
ご本人の言葉なのだろうか
現地で読んだときは
わかるようなわからないような
今改めて理解しようとして
消化できずに悩む
明確な答えなどないって、
わかってはいても



最後に急登をこなし
ヒルメシクイノタワへ着いた
ここからおなじみ稲村岩尾根
雪の上はしっかり道が出来ている
鷹ノ巣山頂に着いたら休憩しよう








クリスマスが近かったから
ケーキを持ってきた
本当は理由なんかなんでも良くって
単純に食べたいだけなのです



日曜で登山者はそれなりにいた
雲取山方面からは
テン泊装備の人も多かった
富士山は雲の中
目当ての南アルプスは見える
満足だ



日原の駐車場へ車を置いてきたので
下山は手っ取り早く稲村岩尾根
あれだけ晴れていたのに
あっという間に霧のなか





photo by Yumiko



「はやく下りて、
釜めし食いに行こうぜ」
Hiさんはわかっている
食べもので釣って下山を促すことがよくある
わたしがチンタラしていたり、
腹をすかして機嫌が悪くなると
必ず出てくるお決まりの台詞
「はやく下りてうまいもん食おうぜ」
まあ、本人もそうしたいのだろうけど
それ言われると、
人参をぶら下げられた馬になってしまう




⋅⋅⋅⋅⋅⋅下山後⋅⋅⋅⋅⋅⋅
大丹波の釜めし屋なかいさんへ
地図を広げて、
歩いた道を確認しながら
自分たちの一日を再度辿る
これも毎度ながら楽しい
口数の少ないHiさんが
会話に夢中になるのって
こういうときかもなあ





1.15.2015

戯れて、白毛門 (松ノ木沢ノ頭まで) -2014.12.28





昨年の山行記事は
未掲載がいくつもあるのですが、
雪シーズンということで
先にこちらを⋅⋅⋅⋅⋅⋅



2014年の年末
最後に「雪を踏もう!」と
出かけた白毛門
この界隈は7月の馬蹄形縦走以来
あのときは、
緑と空の間を飛ぶように抜けた
谷川の眺めは本当に素晴らしいと思う
Hiさんとよく話すのです
「アルプスに劣らぬ景観とは
よく言ったもので、しかし
唯一無二の谷川クオリティ」だと



今日はピークまで行けないかも
歩く距離と速さは雪次第
12時になったら、
どこにいても引き返してくる
トレースのない道を楽しみに




*******




土合駅に車を停めた
登り口にある本来の駐車場は
すっかり雪で覆われている
緑のテントがポツンと寒々しい
家の主はまだ中にいるようである
それにしても、
ここでわかんを着けたいくらいだ
トレースの上を時々膝までハマる
橋を渡って森へ入る
登り始め、ふと先を見上げると
固まって進む人々が見える
「ラッセルしてる」
我々もかんじきを履いた



追いついてみると
男性4人組パーティと
単独男性が2人
そこへ自分達が加わり
8人で道をつくることに



空は青く輝き、風はない
「この時期にこんな谷川初めて」
4人組パーティの男性らが口々に言う
元山岳会の仲間とのこと
「もう良い歳なんだけど、
やめられなくってねえ。
昔はそりゃあ皆強かったんだよ」
経験ある方達とご一緒させてもらえるのは、
とてもラッキーなことだ



「そろそろ代わろう」
程よい頃に声がかかり
トップ交代
わたしの一発目、雪は胸ほど
「深い」と言うと
すぐ後ろにいた方が
「全部埋れてしまうかもしれないね」
その頼りなさに心配したのか
すぐに「代わりましょう」
わたしは脇に逸れ最後尾につく
よし、次に順番がまわってきたら
男性に負けない働きをしよう





頼もしい男達
photo by Yumiko




後続は雪を踏み固めながら
景色を堪能する余裕もある

白塗られた岩壁を抱く
堂々且つ端麗な谷川岳を真近に

美しく彫られた谷、大きな空
やまなみの奥に上州武尊山

満たされるなあ
この景色に
自分の身体で、皆で先を目指すことに





どんどん行こう!
photo by Yumiko




何故か左足が沈む
「あれ?」と立ち止まる
前にいた方に「外れてる」と言われ
かんじきがなくなっていると気付いた
別の方が
「探しておいで。
あったら声をかけて」
引き返し、ひりゅうさんも一緒に見てくれたけど
足から抜けたあと、
上から雪と一緒に踏まれて
どこかに埋れてしまった
全て掘り返す訳にもいかず
途方に暮れる
困ったなあ⋅⋅⋅⋅⋅⋅
わかんを失くしたと言うより
山にゴミを残すことが問題
あんな大きなもの片方だけ
わたしの不注意で心が痛む
「残雪期に探しに来る」



急いで追いつき
左はツボ足で頑張ることになった
探しておいでと声をかけてくれた方は
その後も何度か「大丈夫か?」と
心配してくれた
「大丈夫です。
行ける所まで行きます」








急登に差しかかる
ストックはピッケルに持ちかえ
雪を掻き分けながらゆく
いつの間にか
ひとりふたりと人が増え
最後は高校生の山岳部が加わった
賑やかに松ノ木沢ノ頭まで





「近くて遠い、白毛門」
photo by Yumiko




時間的にもここまでだろう
CTの2倍はかかった
一緒に登ってきた仲間は皆晴れやかだ
様々な絶景を後ろに各々記念撮影
Hiさんが4人組に頼まれ
シャッターを押した
今度は「2人で撮ってあげる」と
わたし達は色んな所に立たされて
たくさん写真を撮ってもらった
そのときの画像を見返すと
わたしはどれも弾んだ表情
滅多にないことで自分で驚いた
山の中で構える写真は
たいてい伏し目か、
気難しい顔で写っているから



惜しみつつ下山開始





今日の山と仲間
今年一年に感謝
photo by Yumiko






最高だよ〜



帰り道は呆気ない
苦労して登ってきたのになあ
それにしても皆さん健脚
下山は次々抜かれ追いつけなかった








終わるのがさみしい





調子にのって、滑る




2014年の最終山行は
天候に恵まれて
思う存分雪と戯れ
その〆に相応しいものだった
これは年末恒例にしようか
味をしめたらやめられない



次に来るときも
晴れたら良いね










1.11.2015

新年会、誕生会、安達太良山(後編) -2015.1.3~4 山頂へ





⋅⋅⋅⋅⋅⋅二日目⋅⋅⋅⋅⋅⋅



朝食はお喋りに夢中になった
隣席の地元の女性と
安達太良はいろんなコースがあるから
たくさん登りに来てねって
特に渓谷沿いの塩沢ルートは
静かで、紅葉が素晴らしいからと
(冬期は登山禁止になっている)
その方は初登山が安達太良で
「この世にこんなに美しい場所があったのか」
と思ったそう



食事が終わる頃
その女性と同パーティの男性が
「峰の辻で様子見るか」
と言っていた
残念だけど今日も真っ白だろうな
風は弱くなっている
いち早く出て
踏み跡がさらわれた道を歩きたい
Hiさんの出発準備は、
文字通り朝飯前だったけれど
わたしは
「温泉に入りたい!」



仲間はフル装備で待ちぼうけ
「すぐ出てくる」
と言ったものの
しっかり朝湯を楽しませてもらった
風呂を出て
荷物を取りに部屋へ行けば
「あら、お風呂入ってきたの笑」
同室の女性が驚き笑う



ようやく出発
はじめは岩や木が顔を出している
視界が悪くなければ大丈夫



そのうち








真っ白な空間へ
スノーシューを履いた男性二人が
「目印が見つからなくて」
と引き返してきた
そこから先は足跡が消えた
立ち止まり注意深く探すと
竹が刺さっているのがわかる
見失わないよう進む





峰の辻



ここで湯を飲んでいると
4人組が足なみ揃えて先へ
その姿はすぐに霞み消えた
GPSと地図を確認する
昨年はここを過ぎたあと外したが
今日は行けるね



凍てついた岩が現れはじめ
目印の竹もよく見える
山頂までの道標が出てきて
お〜、きたきた








傾いた標識を確認
(この辺りは凍結箇所もあるため
その日のコンディションにより
アイゼンをおすすめします)








山頂の岩場
どこを眺めても真っ白だな〜〜
色と形があるのは
先行4人組の誰かが置いたか
雪に埋れた小さな祠の前に
みかんひとつ



眺望は次回にとっておこう
焦らすね、安達太良山



下山は来た道を戻ることに
どこを見ても雪がいっぱい
下りながらはしゃぐ








はしゃぐ








いい歳こいても、はしゃぐ








滑落ではありません。笑
ソリで滑ってます





⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅。



キャアキャアと
小屋前の斜面でしばらく遊んだ




そのまま下りても良かったけど
「温泉入りたい⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
またかよ、とは言わず
今度はHiさんも入ることになった
そういえば昨年
山頂へ至らず戻ってきて
小屋で休憩させてもらって
小屋番のイトウさんが
「またくればいいんだヨ」
お茶菓子をくれた
そのあと、
わたし達が崩れたケーキを広げたら
ローソクに火をつけてくれて
「誕生日のお祝いだあ。
温泉入ってけ〜
下に着くまでポッカポカだぞお」
なんとも嬉しい贈りものだった 
チェックアウトの時間を過ぎていて
本当なら温泉代と暖房費が必要
もちろん金の問題ではない
こんなに優しい小屋番さんがいるのかって、
驚いたものだ
「カレーは何を入れてるのですか?
美味しいから」と訊いたら
「愛情だヨ〜」
ありがちな答えだが
納得させられた正解



今年はイトウさんにお会いできず
別の小屋番さんも
あたたかいお二方だった




さて
これでもか、と温泉に浸かり
出てきて最後の身支度
小屋の常連さんには
「また来年」とご挨拶




小屋を背に歩く
あられが舞って
積雪の上に落ちた粒は
さらさらと砂のよう
掌ですくうと軽やかに転がる
そうだ、わたしは
あられが降る日に生まれたと聞いたよ



ゆっくり標高を下げて
樹林帯は湿った雪に







そして麓の町は雨だった




安達太良、くろがね、雪の宿
この時期とっておきの贅沢
きっと良い一年になる
素直に思えるすてきな旅



2015年
みなさんも
素晴らしい一年になりますように







1.08.2015

新年会、誕生会、安達太良山 (前編) -2015.1.3~4 くろがね小屋泊




2015年
今年もよろしくお願いします!



昨年の記事を書き終えていないのですが⋅⋅⋅⋅⋅⋅
つい先日、出かけた安達太良山
新年一発目の記念山行を
先に載せることにしました。
ちょうど一年前にお世話になった、
くろがね小屋に今年も一泊
初日と二日目、条件の良いほうで
安達太良山へ登頂する。
ざっくりそんな計画
登山もだけど、
名物くろがね温泉
これまた名物、夕飯のカレー
そして優しい小屋の雰囲気を
存分に味わうのがお楽しみ。
もちろんビールを飲みながら。




*******




きたね、一年ぶり








わくわく
ふかふか

ふかふか
わくわく








樹林帯は雪が深いけれど
しっかりトレースがついている
かんじきを重ねるたび
キュッと嬉しさがこみ上げる
晴れ間が覗いたのは
わずか、ここを歩いたときだけ



下山してくる人々は
バラクラバにゴーグル
こりゃあ〜ここを抜けたら
風も雪も強そうだ
過去二度この道を行き
勢至平付近で天気がガラリと変わるのを経験している
案の定、今日もそんな感じ








風が大きくなって
雪は真横から頬を叩く
これが吹き荒ぶ稜線だったら
気持ちも折れようが
小屋までは知れている
楽しみが待っているから
冷たいと感じなかった





「今日のお宿」
photo by Yumiko




ゆっくり歩いても
登山口からまっすぐ目指せば
あっという間に小屋へ着く
今日は山頂へ行かない
宿泊の受付は13時から
時計はまだ11時
小屋番さんに声をかけると
「どうぞ、のんびりしてください」
ではでは遠慮なく⋅⋅⋅⋅⋅⋅



早速Hiさんが取りだしたもの
誕生祝いのケーキとビール
山仲間の誕生日はいつからか
山でケーキを食べるという
あしおと会の掟








「かわいい!おいしそう!」
新年だから
近所のショッピングモールのケーキ屋しか開いてなかったと言う
気に入るか心配だったのだろう
Hiさんなりの言い訳
なんだっていいのに
なんなら外に積もった雪でもいい
気待ちがありがたいのです



小屋番さんが通りかかって
「わあ、誕生日のお祝いだ。
よく持ってきたねえ〜
ストーブの前で写真撮ったら?」
昨年もお会いした常連客の方が
シャッターを押してくれた
祝う歳でもないんだけど
Hiさん、みなさん、ありがとう





「憩う」
photo by Yumiko




いつのまにか登山客でいっぱい
受付を済ませると
多くのパーティが新年会
すき焼き、焼肉、鍋⋅⋅⋅⋅⋅⋅
お酒も進み皆楽しそう
わたし達はその隙に貸切温泉
それから部屋でゴロゴロ
外は吹雪いている
そのこちら側で
わたしはあたたかい毛布に包まる
ほんのり酔って
まぶたが落ちてきて
聞こえる風の音と
登山者たちの山話の断片
えも言われぬしあわせ



夕方目を覚ますと、
階下の宴会は続いていた
食事前にわたしもビールもう一本
お待ちかねのカレーは
宣言通りおかわりを
言うことないね
で、お風呂もまたいただきます



ぽかぽかにあたたまって
一人で消灯前に寝てしまった
外は相変わらずの吹雪で
いびきをかくわたしの横で
Hiさんは本を読んでいたんだって




(続く)