12.05.2014

戸隠山へ、またきたよ -2014.9.20 鏡池~(P1尾根)~西岳~本院岳~八方睨~山頂 ~蟻の戸渡り~戸隠神社奥社~鏡池





⋅⋅⋅⋅⋅⋅素晴らしすぎた、
南アルプス南部の旅から二週間⋅⋅⋅⋅⋅⋅



二週間あいたのは、
週末のお天気がイマイチだったから。
でも南アへの思い入れが強すぎて
どこかへ行ったとしても、
腑抜けだったかも。
この週は元々北アの山へ登る予定でした。
テント一泊のつもりで
Hiさんも二日間の
お休みを取っていましたが
前の週に「登頂待ち行列、数時間」
という混雑ぶりをネットで見て
「そりゃあ無理」
行き先を変えることにしました。



ではどこにしようか。
一日目は、
来年行こうと話していた
戸隠の破線ルートを。
翌日は戸隠から比較的近い
妙高山はどうだろう。



戸隠は6月末の
緑が美しい頃に訪れてから
すっかりお気に入りです。
前回は奥社〜八方睨、
高妻山まで縦走でした。
※そのときの記事は
次は破線ルートから登頂しようと
決めていた戸隠山です。
6月のブログ記事では
「また必ず呼ばれる」と
結んでいますが、
早々呼ばれましたね。




*******




鏡池の駐車場から
夜明けと同時に出発
この道は熊の出没が多いと聞く
二人で熊鈴を鳴らしながら歩く
「また戸隠に来られて嬉しいな」
山もだけれど、
麓の雰囲気を含めて好きなエリア
そこに来られたというだけで
気持ちが上がる
なんたって、
戸隠そばは超美味しいし⋅⋅⋅⋅⋅⋅



川の渡渉は日中なら
迷うことはない
緩やかな採草地を過ぎると
次第に傾斜がキツくなる








天気は悪くはないけど、
ガスだなあ
でもなんだか
パワースポットらしくて
良い感じ



「熊の遊び場」という
有名な看板の前後から
P1尾根っぽさが出てくる
時折、展望を得ると
隣のダイレクト尾根がカッコいい
辿れるようになるまで何年かかるか
一生登れないかもしれないけど、
憧れるだけならタダだもんね








鎖で横移動、壊れそうな梯子へ
ここが一番いやらしい感じだった
戸隠は岩や土が脆い
濡れていて滑ることがある



P1尾根にある蟻の戸渡りは
横を巻くので
危険度は比較的低い



このルートは
思ったほど鎖の数は多くない
その分、急登を脚で稼ぐ箇所がある
周回は体力勝負にもなる





不帰の剣というらしい
よっこいしょ、と登る





目指す先



西岳から八方睨までの道は
濡れた笹で滑るったらもう
崖側に落ちないように
そろそろと⋅⋅⋅⋅⋅⋅



奥社ルートと合流したら
ひとまずホッとした
戸隠山頂を踏んで八方睨へ戻り
腹ごしらえ
あとは下山なのだけど、
わたしは何と言っても
ここの戸渡りが一番の恐怖!





うえ〜〜ん!怖いヨ〜〜〜!



下りに使うと恐ろしさ倍増だった
写真右に男性登山者がいる
これが巻き道だが
そこへ下りるまでが怖い
やはり上を四つん這いで通過



しっかり立てる場所まで来ると
へなへな〜〜〜⋅⋅⋅⋅⋅⋅
ああ〜怖かった⋅⋅⋅⋅⋅⋅
しかしこれを渡らないことには
「戸隠へ来た感」が



前回は覗けなかった、
岩の上にある祠が祀られた小屋
時間があったので登ってきた





屋根が見える





手も足も豊富





「良い眺めだな〜」
photo by Yumiko




下山時から晴れて
遮るものなく
戸隠の街や向かいの飯縄山が
よく見える、お得な展望地



奥社は観光客でいっぱい
随神門を右に折れ
天命稲荷の前を通り
スタート地点へ戻ってきた
水鏡に映る、
わたし達が歩いた稜線








下山後のおたのしみは
戸隠神社中社の傍にある
「うずら家」さん
1〜2時間待つのがデフォらしいけど
すんなり入れて
わたし達が最後の客だった
ここのお蕎麦は
本当に美味しいんだよな〜
山と、美味しいものは
ひとを幸せにする!



お腹を満たしたあと、
妙高山麓笹ヶ峰キャンプ場へ移動
明日も山登り
うん
幸せ



12.03.2014

南へ 4 -2014.8.28~31 さようなら、わたしの夏 最終日⋅⋅⋅上河内岳〜茶臼岳〜畑薙大吊橋




8月31日
南岳から







最終日に相応しい幕開けじゃないか
瞬きが惜しい
まったく、空と雲の表現力に
わたし達は容易く操られてしまう



上河内岳へ登り詰め
やっと目にした
立派な山々が肩を並べるさまを
「歩いてきたね〜⋅⋅⋅⋅⋅⋅」







来た道を戻り
また歩き通したい気分
とても去り難い





影上河内岳
photo by Yumiko




そして他方を見れば
未踏の山へ憧れを抱く
頂から頂へ
こうして登山者は呼ばれるんだろう
追っても
追っても
知り尽くせない
自然の誘惑には、
どうしたって敵いっこない








さて、この旅
最後のピークへお邪魔しよう





茶臼岳から
photo by Yumiko




⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅
⋅⋅⋅⋅⋅⋅
⋅⋅⋅




*******




8月の終わり
山の上で過ごした数日
秋の気配を感じながら
わたしの夏も終わりました。


楽しみにしていた計画
目標の大きな山々を越えるため、
体力だけはつけておこうと
冬の日帰りでは、
苦手な重い荷物を我慢して背負い
夏、ザックが軽いときは
その分長い距離を。
大袈裟かもしれませんが
思いつきで歩き通せる場所ではない。
未熟なわたしは、
一つひとつ山行を重ね
どうしても確かめたかった道を
辿ることができました。
何と言っても
希望を叶えてくれた、
周りの人々や環境に感謝です。
そしてわたしを迎え入れてくれた
(⋅⋅⋅⋅⋅⋅と言って良いのかな?)
愛する南アルプスの山々に。


山に関しては、
目標が他にもたくさんあります。
そのスタートラインにすら、
立てていない状態だけれど⋅⋅⋅⋅⋅⋅
「自分達がやりたいこと」を
見失わず、楽しみながら
結果それが素晴らしい感動を
もたらすのだと、
この旅は教えてくれました。


天気は残念な日ばかり
それでも想像を超える、
素晴らしい景色に出会えました。


南部の小屋の方々が、
みな人懐こく、優しかったことも
印象に残っています。


畑薙の吊橋を渡ったときは
さみしくて泣きたくなった。
次はいつここへ戻ってこられるのかと


東京に戻り暫くは
夢のような数日間を思い返し
気持ちここにあらずでした。


今だって、地図を広げると
いてもたってもいられなくなります。
この記事を書いているのは
12月初旬、深夜
焦がれる山たちは
今どんな表情で眠っているのだろう。
幸せな想像を巡らせながら
わたしは満たされている。
明日も明後日も、
こうして過ごしていたいと願いつつ
そろそろ眠りにつきましょうか。



そうそう
Kさんから戴いたお手紙。
御守りになったこのときから、
既にたくさんの山を共にしています。
ありがとう









(おわり)






南へ 3 -2014.8.28~31 大きな山を縫って 二日目⋅⋅⋅千枚岳〜悪沢岳〜赤石岳〜百聞洞山の家 三日目⋅⋅⋅聖岳〜聖平小屋




悪沢、赤石
おおらかな稜線を繋ぐ
何度立ち止まり
先を仰ぎ、振り返ったことか
心はグライダーのように
のびる尾根と深い谷を沿う


「これが山なんだ」








そこに刻まれた完璧な造形
美しいとしか言い様がなかった
目の前に理想が広がっていることが
不思議で仕方がなかった


「これが山なんだ」


他に何かを求め、与えられても
いつも孤独から抜け出せない
不安や不信の塊
そんな寂しい偏屈な人間すら
山で解き放たれる
わたしが山へ登る理由の
ひとつかもしれない



赤石岳避難小屋で一息入れた
残念ながら、
ここから青空が消えた
百間平は真っ白
降り出す前に今夜の幕営地へ



二日目はよく歩いたので
雨音に負けないくらい、
大きないびきをかいていたかも



明け方
テントから顔を出すと
暗いなかを、
ちらほらと明かりがやってくる
小屋を発ったパーティだ
「おはようございます、
早いですね」
声を掛けると
「いや〜我々は足が遅いから。
そのぶん、早く出ないとね」
数名の男女は、
すでに雨具を濡らしていた
しかし気にする様子もなく
賑やかな話し声をあげながら、
テン場の横の斜面を上がっていく
「楽しそうだな〜
ウチらも負けてられないね」
雨の中、濡れたテントを撤収し
雨の中、今日も歩くのか思うと
多少はテンションも下がる
明るいパーティに元気をもらって、
エイヤと出発の支度に取り掛かる



夜明けとともに雨脚は弱まった
結局この日は
降ったり止んだりだったと思う



天気が悪くても、良いこともある





「雷鳥さんだよ!」



兎岳から前聖岳まで
4度も雷鳥に遭遇
三家族とオス一羽
母さんと一緒の子どもたちは
だいぶ大きくなっていた
オスの雷鳥がひとり佇み
見つめていた先は
晴れていたら、
素晴らしい眺めが広がっていただろう



前聖岳にザックをデポし
奥聖岳へ向かう








ここがまた素晴らしく、
よく出来た庭園のようだった
ちょっとした岩稜も楽しい
眺望はなくとも心から感動した場所








奥聖で強くなった雨も
聖平小屋では止んでいた
テントや荷物を広げたあと
小屋でカレーを注文した
「ご飯大盛りに出来るよ、
どうする?」
そう訊かれ
「じゃあ、大盛りにします。
でも食べられるかなあ」
心配ご無用
下膳したお皿を見た小屋の男性が
「あら!ぜ〜んぶ食べちゃったね!」
厨房から一斉に笑い声
「だって、
美味しかったんだもん⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
500円でお腹いっぱい
まかないの甘酒までご馳走になり
更には聖平小屋名物、
ウェルカムサービスの
フルーツポンチもしっかりいただく
テントに戻ると
持参のレトルトカレーまで
食べてしまった
夏に山を歩くと食欲が出ず、
「無理してでも食え」と
いつも言われていたけれど、
この山旅は至って快食
おかげでバテることなく歩き切れた



優しい聖平小屋
ここまで来られて良かった
明日は最後のひと歩き
もう、終わりなんだな




(つづく)