5.26.2014

谷川岳、白い耳 -2014.3.16 天神尾根

先日、元同僚から
「友達が上京して熊鍋やるからどう?」
との誘いがありまして。
即答で「いくッ!」
大切な内輪の集いだったようですが
よそ者がノコノコと
お邪魔してきました。
鍋を振舞ってくれた方は、
マタギの方達と山に入り
山中や生息する生物の
放射線量を測っているそうです。
(山形の小国町です)


興味深いお話を
たくさん伺いましたが、
「マタギは空を飛べる!」
と仰ってました。笑
気配もなく雪庇の向こう側に
いたりするそうですよ。すごい。
で、頂いたのはふたつの鍋、
ツキノワグマ(手の部分)と
アナグマ(クマと言いつつクマではないのですが)。
それぞれをコシアブラや大根と
味噌で煮込んだもの。
ツキノワグマのほうは、
何かジャリジャリあたるものが。
それが何だったのかはわかりません。
アナグマはとても柔らかく、
こちらが好みでした。かなり濃厚。
隣に座っていた方のお椀には
アナグマの鼻が、
丸ごと入っていました。
密集する、短いけれど硬そうな毛や
細かい歯まで連なって。
そのままかぶりついて
「あんまり味がしないなあ」
と、感想を漏らしていました。
さすがにびっしり並んだ歯は残していたようですが
わたしが口にするには
相当の勇気が必要です。
まだまだですね。


さて、余談が長くなりましたが
記事はしばらく雪山が続きます。


*******


昨年9月、谷川岳を訪れたとき
まるでいきもののような雲の流れに
目を見張り心打たれて、
それは立ちすくむほどの
光景、というより「世界」でした。



「次は雪の谷川へ」



朝一番の天神平駅
お天気も気分も上々
一歩ずつ進むのがこんなにも楽しい。
登るにつれ、澄んだ空と
どこまでも白い山々に魅せられ
また一歩、さらに一歩





夢中になりすぎて、
Hiさんを置いていくところでした。
いけないいけない。


トマの耳に着いて、
一回目のハイタッチ。
すぐにオキの耳へ。



耳と耳のあいだ

雪庇のうえを軽やかなあしあと
四本足の誰かが、
とてもうらやましい。



オキの耳は風が強かった。
立ち止まっては振り返り、
立ち止まっては振り返り。
「もう見えなくなってしまうよ」
つぶやきながら、来た道を戻る。
何度も振り返るほど
別れを惜しむのは、
目に焼き付け足らないからです。
忘れていく一方の記憶を、
少しでも残しておきたいからです。



天神平駅まで戻り
ピッケルとアイゼンをしまっていると
人懐こい犬が近づいてきました。
リードを持つお母さん、
お父さんと
小学校低学年くらいの男の子
観光でやってきたようです。
「この先はどうでしたか?」と訊かれ
「素晴らしかったです」
としか答えられなかった。
愛嬌たっぷりのわんこの名は
モモタロウ。
ひとしきりモモちゃんと
遊ばせてもらったあと、
自分ちのモモちゃんに
イタズラばかりしている、
元気有り余る男の子に
「大きくなったらね、
(山の)向こうへ
行ってみるといいよ」
と言うと
小さく「うん」と頷きました。








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